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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜38
"バシッ!!"
その話を中断させたのは彩の見事なデコピンだった。
「…!!」
ぴょん吉は言葉にならずに額を押さえ込む。
「なに?」
彩は、先程ぴょん吉が自分を呼んだ理由を聞きたかったらしい。その後の彼(彼女?)の抗議など、なかったことにされているようだ。
(何でこの子ってこんなガサツなのかしら!?もう少し私みたいに女の子らしく…)
ブツブツ言いながら、額を押さえてぴょん吉が体勢を立て直す。
"バシッ!!"
「…!!」
今度は額を両手で押さえ込むぴょん吉…
「だから何?」
「…だ、だからね」
ぴょん吉はやっと観念したようだ…今度は口を開かず、次のデコピンを構え始めた彩に注意しながら体勢を立て直す。
「これ、噂の電ライナーよ!!電王が乗ってるっていう…ここはさすがにヤバいわよ!!こんなのあの人に知れたら…」
ぴょん吉はコソコソと彩に耳打ちした。
「なぁにコソコソくっちゃべってやがる!!」
モモタロスがいきなりぴょん吉のフサフサの長い耳を鷲掴みにすると声を荒げた。
「離しなさいよ〜!!悪いけど、私、アンタみたいなガサツな男に興味ないのよ!!」
ぴょん吉はジタバタした。
「私が興味あるのは知的なウラくん?」
そう言うとぴょん吉はモモタロスのすぐ後ろにいたウラタロスにウインクしてみせた。
「ははっ…僕なんかより先輩をお勧めするよ」
ウラタロスは身震いして後ずさりした。
「はぁっ?!こんなヤツいらねぇよ!!」
モモタロスはぴょん吉をウラタロスに押し付けた。
「えぇ〜??ひどぉい!!」
ぴょん吉は二人の間で押し付け合いにされていた。
「単刀直入に聞くけど…」
そんな三人を尻目にコハナが彩に言葉を投げかけた。
彩はその声に顔をあげる。
コハナの隣には良太郎…二人は真剣な面持ちでこちらを見つめている…
「アナタ、契約者…でしょ?」
彩の眉がピクリと動く。少しあって、彩は冷静な表情でコハナを見つめ返すと口を開いた。
「…そうだよ」