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作者:SS投稿作品用
仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜46
「…彩ちゃんのこと何も知らないくせに…変なこと言わないで下さい!」
いつもは気弱な良太郎が、オーナーを睨みつけて声を荒げた。
「おい、良太郎…」
モモタロスが良太郎の変わりように、彼の肩に手を置く。
良太郎は無言でその手を振り払うとオーナーに詰め寄った。
「彩ちゃんはぴょん吉との契約はケガを治すことだって言ったんです!大丈夫だって言ってたんです!」
良太郎の声は震えていた。自分でも何をしているのか分からなかった。
自分の言っていることが絶対じゃない…オーナーが言っていることが正しいかもしれない。
…けど
「…彩ちゃんは、嘘なんか言いません」
良太郎は震えを押し殺すように、低くゆっくりとした言葉をオーナーにぶつけた…自分にも強く言い聞かせるように。
良太郎はその勢いのまま食堂車を走って出ていってしまった。
「良太郎!!」
コハナの良太郎を呼ぶ声だけが食堂車に響いた。
…何かが壊れ始める音がした…
良太郎は徐々に不安の色に染まりかける自分の心を必死でこらえていた。