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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の二百九)
「ノアサ君!」
いやだっ!もうボクに構わないで!もう、もう見たくない!
「私あなたのことよく知らないよ!だけどみんなから話を聞いたから!とっても優しい子だって聞いたから!私も信じるよ!負けないで!最後まで抵抗して!」
「ノアサぁさん!頑張れぇ!」
一瞬だけ見た・・あの人達は・・初日に・・・ああ、そうだった・・この人達を見て僕は幸せになりたいって・・なれるかもって・・でも僕・・素直じゃないから・・
幾度も幾度も炎が全てを包む・・もう何人焼いたんだろ?・・消えてく・・・全部が・・
・・・あの時のように・・ぬめっとしたものが体を包んで・・真っ白に頭の中が真っ白に・・・・みんなと同じところに・・行けもしないんだ・・・もう・・・
悪夢・・そう思い込みたかった・・僕は不発弾なんかじゃない・・そう言いたかった・・
2人で一緒に逃げようって言われた時・・うれしかった・・
もっと・・みんなこと知りたかった・・クリスマス・・正月・・みんなと一緒になって・・
幸せに・・シアワセ・・に・・そうだ・・バレンタインのチョコ・・お返し・・・しなきゃ・・一生懸命作ってくれたんだもんねぇ・・沙都子ちゃんと一緒になって・・・
朝見たらチョコのシミが顔に残ってて・・みんなで笑って・・レナさん辺りが上手に教えてくれるそして思うんだ・・僕は幸せだよって・・僕でも幸せになっていいんだよって・あれっユユ!ミナ!転校してきたの!うれしいな!みんな喜んでくれるよ!
みんないい人達だよ!宗さん!はしゃぎすぎです!学校なんですから静かにしてください・・ユユ!この人達ゲームの部活やってるの!みんな強いよぉ!ユユも強いんだよぉ!
見せてあげなよぉ、ミナも!みんないる!みんないる!あれっ、なんで涙が出てくるの嬉しいのに・・嬉しいのに・・どうして・・ねぇ・・なんでだれの声も聞こえないの?
喋ってよ!みんな!みん・・な・・・みんなの顔が・・消えてくよ・・忘れたく・・ないのに・・