ヒグラシのなく頃に(消滅編)(クリスタルパロディンさん作) - 97 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百十四)

「太平洋戦争・・というのは知ってるかな?」
「聞いた事がありますです・・」
戦争?このこととなんの関係が?
「たくさんの人が殺され殺しあった・・わしはその頃、兵隊の軍事訓練教官をやっとたな」
「軍事・・訓練教官・・」
「戦場で・・生き残り方や人の殺し方などを教える先生さ・・」
「先生・・」
「やがて・・その戦争が終わり・・普通の生活にみんな戻ろうとしていた・・しかし・・
戻ることは・・出来なかった。」
「出来なかったって・・どうしてなのです?」
「戦争での緊張状態が続いたせいなのか・・家族にね銃を向けて殺すものが出てきた・・」
・・!・・
「わしは教官だったおかげで戦場に出ることはあまりなかった・・しかし・・戦場というものは・・いやなものだね・・血は飛び散り・・腕はちぎれ・・脳みそは飛び出す・・そんな光景を見つづけた者はね・・普通の生活に戻っても・・その影に怯え続けるんだ。」
「怯えつづけてどうなるのです?」
「何も信用できなくなる・・常に自分は戦場のど真ん中にいて・・いつ殺されるかわからん恐怖と戦う・・次第に周りの親しいものまで・・敵と勘違いし・・ひどいものは・・親しいものを殺してしまう・・」
校長の顔は無表情だった・・でも言葉だけは・・なぜか重みがあった・・
「PDSD・・アメリカではベトナム・ストレス症候群とも呼ばれていたな・・たしか・・」
「ノアサはベトナムにいたのですか?」
その問いに少し遅れて
「いやっ、多分違うんだろう・・しかし、診療所に行かなければ詳しいことはわからんが・・恐らく・・野木君は・・どこかで人を殺してる可能性が高い・・しかも・・大量に・・」
体全体に・・悪寒が走る・・
「ノアサが?ですか・・もの凄い臆病なのですよ・・ノアサは・・」
「古手くん・・戦場というものはね・・誰もが人を殺すんだ・・いい人も悪い人も・・
じゃないと・・生き残れないからね・・」
「生き・・残る・・?」
それは・・かつての世界で私が生き残るために使っていた手段・・もっとも自分を殺しそうな者の下に行き・・私は大切なものが奪われる前に・・奪った・・しかし所詮小さい子供の力だ・・成功率は限り無く低かったのを覚えている・・
「すまんね・・あくまで私の勝手な憶測だ・・忘れてくれて構わんよ・・」

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