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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百九十)
「ほんとに・・大切な仲間が・・1人増えてたんだね・・ずるいなぁみんな、私も一度でいいからお喋りして・・みたかったな・・ノアサ君と・・」
「はは、多分会ったらもの凄くお持ち帰りしたくなるぜ・・あいつの泣き顔結構かわいかったし・・」
「あはは、やっぱ圭ちゃんってそっちの方?こわいねぇ?富田くん岡村くんも気をつけないと」
「圭一さん・・やっぱり・・」
「だから!違うぅぅ!」
「あはは、いいなぁいいなぁ、みんなずるいよぉ、はぅぅ」
そこから当たり前のように笑って・・当たり前の会話・・他愛もない・・そう言ってしまえばすぐに済んでしまうんだろう・・でも・・この時間の為に生きてる・・俺たちは確かにこの時間の為に・・生きてるんだ・・
(ちくしょう!死んでいい命なんかないんだ!!!)
どこかで聞いたはずの言葉・・当たり前すぎて忘れていた言葉・・それを伝えるのがもしかしたら・・俺の・・役割・・だったのかも・・しれない・・ノアサは知らなかった・・・
俺は・・知っていた・・ただ・・それだけの違いだったんだ・・
(ガラガラ!)不意に教室の扉が開く
みんな一斉にその方向を見る・・梨花ちゃんだった
「遅くなりましたのです・・」
千絵先生は心配そうに
「あの、大丈夫ですか?古手さん?」
「大丈夫なのですよ、にぱー☆」
嘘だって・・すぐにわかった・・笑顔を見せる顔に涙の跡が・・光ってたから・・でも、誰もそのことに触れようとはしなかった・・その時ふと思った・・このままノアサのいない世界が当たり前となって・・忘れて・・いくんだと・・それが俺たちが今出来る・・
幸せ・・なんだと・・でもそれは、同時に梨花ちゃんを苦しめてしまうんじゃないか?