140
ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百五十六)
チャイナドレスに着替えながらノアサはさらにつぶやき続ける
「神様はちっぽけな玩具に気まぐれに命を与えた・・それがピノキオの世界なら目の前に優しいおじいさんがいて・・人間になるための旅に出ていたことでしょう・・ですが・・
僕たちには代わりに銃をもったおじさんたちが立ってました・・」
化粧品をぱしゃぱしゃと手馴れた手つきで顔にかける
「僕たちは・・玩具・・時間が立てば捨てられあきられ・・消えていく・・僕たちはそうならないために最大の努力をしなければいけません・・」
顔にオシロイを塗っていく・・
「僕たちは旅に出ましょう・・ピノキオが・・人間になる為の旅に出たなら・・僕たちはもっと上・・神になるための旅に出ましょう・・そして今度は・・」
「今度は・・人間を操り人形にでもするつもり?相変わらず発想が怖いんだね・・君・・」
ノアサがノアサにしゃっべってる?周りを見てみる暗い中でノアサしかいない、ノアサはちょうど髪を結ったところだ・・きれいな女の子が目の前に1人いるようにしか感じない、その子は言う
「君は・・どうしたい・・神にでもなる?」
それは私に言われてるような気がした・・ありえない・・この記憶世界に私はいないはずなんだから・・でも・・・
「私は・・」
(さぁー、今日も始まりましたぁ!フォンレイちゃんは今日はいるのかな!呼んでみましょう!フォーンレーイ!)
ノアサはその声に反応するように駆けていった、フォンレイとはノアサの踊り名らしい
私はその後ろ姿を見る
きれいな子・・それが・・華麗に舞台の上で・・中国風の音楽で・・踊っているそれがノアサ・・それがあまりにも優艶で・・でも、そんな美しい姿を見ながらも私は疑問が尽きなかった
「さっきのノアサは一体・・?」
羽入はさっきから黙ったまま・・見てろ・・って事なんだろうか?