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特捜戦隊デカレンジャーSPIRIT(#02)
「バーン!!」
部屋の外で大きな爆音がした。
「えっ?な…何!?」
慌てて窓を開ける麗。「キャーッ!!」
悲鳴をあげる彼女。美波と龍がドタ?と2階から駆け降りてきた。「なんなんだ、今のデかい音は!」
「こ…恐い。」
「ふたりとも早く外へ!!」
麗は子を死なせまいと2人の腕を引き必死で逃げた。
「ふたりとも、離れちゃ駄目よ。」
「うん、分かった。」「俺、ぜってぇはぐれねぇ。」
3人は、人混みを押し退けながら遠くへ遠くへと走った。3人とも荒い息をしていた。
そのときだった。破壊されたビルの巨大ながれきが、3人の真上に落ちてきた。
「美波、龍、危ないっ!!」
麗は、兄妹を強い力で押した。
「バーンッ!パラパラ…」
がれきが衝撃音と共に細かく砕ける。
兄妹が、強く閉じていた眼をおそる?開いた。
「おい、大丈夫か、美波。怪我は?」
「ううん、大丈夫。ありがとう、兄さん。」美波があることに気づいた。
「ねぇ、お母さん、何処に言ったの?」
「母さん…あっ、俺たちさっき強く押されたような…まさか!!」龍はふと下を見た。驚いて血相を変える彼。なんと麗は、不幸なことに、先程のがれきの下敷になってしまっていたのだ。隙間から血が流れた腕が伸びている。
「か…母さん。」
涙を浮かべ、その場で膝をつく龍。
「お母さん…私、お母さんがいなくなったら嫌だ!」
号泣する美波。
「私のことはいいから、貴方たちは早く逃げなさい。」
「そんな!置いて行くの嫌だよ。」
「貴方たちは何があっても、絶対に生きるのよ、私は貴方たちを信じているわ。ありが…とう…。」
麗はそれだけ言うと、うっすらと眼を閉じた。
「お…お母さん!」
「母さん!!」
無き崩れる二人。しばらくして、二人は走り続けた。だが、第二の悲劇が起こってしまう。
「うわーっ!」
デカバイザーのコクピットが裂け、爆発炎上。美波は、デカバイザーのパイロットがレイルだと知っていた。だが、機械の扱い方、修理など、様々なことを教えてくれた父親は、もういない。
「おとうさぁ〜ん!!」
大声で泣く美波。だが、悲劇はこれで終わりではなかった。
「ゴゴゴーッ!」
なんと、怪重機のドリル攻撃で地割れが起き、龍が隙間に落ちそうに。最初は強く手を握っていた美波だが、衝撃に耐えられず、遂に手を放してしまった。