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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の四十三)
そして・・宗さんはカップ麺を二人分作ってくれた風呂も用意してくれた・・・そこには何の悪意も感じられず・・つうか・・この人がだまされねぇかと他人の俺が心配になった位だそして警察俺が誘拐されたと通報されてカップラーメンを二人で食べてる時に乗り込んだ時はさすがの俺も笑った仕方ないので警察も笑ったみたいだ・・でもこんなのは久しぶりだった・・・家族で食事をするってもうあきらめかけてたことだったから・・なんで他人の子にここまでするのかなと疑問に思ったが・・・
おっと、一人称がまた俺になってた・・・
とにかくそれからしばらく生活を共にした、麻雀だけで生計を立ててるのかと思ったが、どうやらそれは趣味みたいなもんで昼は真面目に近所の金物店でバイトをしている、しかしそれだけではさすがに男二人の生活、金が足りるわけがない、仕方がないので、夜の麻雀で彼の手伝い(いわゆる通し)といわれる役だが、そんなことをやりながら結構うまくやりくりしていた。でも、ある時僕はその家を後にしなければならない理由が出来てしまった。
「突然出ていった時はびっくりしたけどな」
彼に似あわぬ落ち着いた声に話し掛けられ動揺したヒグラシの声が耳に戻ってくる
「ごめんなさい・・・」
「置き手紙もなしにやろっ、事故でも負うたんやないかってずっと心配してたんやでえ」
「でも、どうしてここがわかったんですか?」
少し大げさに考えた素振りを見せてから
「そらなぁ、泣いてる子供がおったら親は迎えにこんばならんやろぉ?」
「僕がいつ泣きました!」
「エーン!エーン!ってずっと泣いてたでぇ」
「泣いてません!」
少し俺の顔をまじまじと見ながら
「まっ!元気そうな顔見れただけでも・・ワイは万事OKや!」
満面の笑み・・まったく・・この人にはいつもペースを乱される・・・
でも、いつの間にかそれが当たり前になってて・・・心地よかった・・帰る場所だった・・
あれっ?何で出てったんだっけ?