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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百四十三)
「ノアサとユユとミナ・・3人は支えあって生きてきたのですぅ、ノアサの出来ないことはユユが教えて、そして、ユユの出来ないことはミナが教えて、疲れてぼろぼろになって、
帰ってきたらノアサがちょうどかわいい鼻ちょうちんをつくってて眠って、笑って終ることができたのですぅ・・仲間というか、もう家族みたいなものでした・・」
今の羽入の声、姿は見えないけど暗闇に閉ざされた世界で確かにそれは聞こえる
あなたも見てるのね・・
やがて急に視界がまぶしくなっていく
人の声、明らかに日本語じゃない言葉も混じってるきらびやかな世界・・人が目まいがするくらい豪華な服を着て歩き回っている雛見沢村じゃ絶対見ることのない景色だ・・こんなにいっぱい人を見たのは・・ダム抗争以来か・・
「Are you OK?(準備はいいか?)」
手首を異常なほど握られているのがわかるそれは握っているというより逃げないよう締め付けられてるような・・横を見ると明らかに私が見たことがないサングラスをかけた黒人がいた
「私たちはいつでも大丈夫です・・」
ミナだ・・少しこもった口調だった
「一応わかっていると思うが注意事項を伝えておく、助けを求める真似をしても無駄だ・・
ここの客はお前たちの存在を知ってるその上でこの船を利用している、何かして困るのはお前らだけという事だ・・あと、一つこちら店側が大負けするような事態が起こった場合それ相応のペナルティがお前たち3人の誰かに降りかかることになるから用心しろよ・・」
「そうならないよう、全力で探します。」
ミナの声はとても機械的というか事務的だった、こいつと一秒でも多く話したくないということか・・
「Good luck(頑張れよ)」
男はそう言ってニヤリと笑う素振りを見せると
すっと握ってた手を解放する・・やっぱり握られてた手首には何も残っていない・・あの男もプロだという事か・・