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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百七十七)
大方の荷物は詰めた・・・忘れ物は・・ない、食料は道々適当に買えばいい、一週間後の今日は綿流し・・・梨花ちゃんの晴れ姿一度は見たかった・・・かな・・今さらだけど・・・・・・でも、もう一時の猶予もない、コイツが俺の体を支配する前に・・・・そうか・・
「思い出したよ・・・僕が俺に変わった理由・・」
強く・・・もっと強くなりたかった、鷹野美奈・・ミナ・・君を失った後にいたいほど気が付いた・・・
僕は君に甘えていた、そう、君はいつしか僕を男としてじゃなく・・弟みたいな存在・・・
そんな風に考えてた・・・
あの、言葉が痛々しく脳裏によみがえる
(ちがう・・お前違う!)
はっきりと聞いたはずの拒絶の言葉・・今ならわかるその言葉の意味が・・こんな、こんな風になってからわかるなんて
「遅すぎる・・遅すぎるんだよぉ・・いつもぉ」
涙が・・無意識か意識的だったのかもしれない、人に甘える依存していく自分が許せなくなっていった・・僕はいつのまにか俺になっていった、強くなった、そう、思い込もうとした・・でも・・結局はいつもと同じ、依存する相手が鷹野美奈から古手梨花に変わっただけ、だから・・あいつは・・・そんな俺の心、嫉妬心、依頼心、隠してた・・ずっと、でも・・・
それはますます強くなって燃え広がって、あいつは、そんな俺の心に気付いた・・・・
あいつは、この苦しみから僕を救い出すといった、馬鹿だ、なんで?こんなに馬鹿なんだ?
急がないと、もう・・誰も失いたくない・・・せめてここ雛見沢村の思い出だけは・・・・
楽しかった・・・嬉しかった・・・守るんだ!
扉を精一杯開ける、壊したのかも知れない・・でも今はそんなことどうでもいい!