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ゼロと双剣の使い魔 44
「・・・お主が?」
オスマンはロイドを目を細めて見つめる。
(確かに、あの戦いぶりならフーケに後れを取ることはまずないじゃろう。しかし・・・)
「なにを言っている!お前は平民じゃないか!」
「そうだ!平民の使い魔の分際で出しゃばるな!」
周りの教師たちが次々にロイドに文句を言いだした。
オスマン危惧していたことは当たった。
いくらオスマンがロイドのことを認めていようとも、大半の教師たちは平民であるロイドを認めていない。
「じゃあ、お前ら何で手を上げないんだよ。お前らが行くんだったら俺が行く必要はないかもしれないけど誰も手を上げないじゃないか」
確かにロイドが言っていることは正論だ。
しかしいくら正論を言おうとも周りでは平民のくせにとまだ文句を言おうとしている。
オスマンが場を取りなそうと声を上げようとしたその時、一本の杖が掲げられた。
「ミス・ヴァリエール!?あなたは生徒ではありませんか!」
「私の使い魔も言っていましたが誰も掲げないじゃないですか!」
きりっと真剣な目をしてルイズは言った。
そして、また一本二本と掲げられた。
「ミス・キュルケ、ミス・タバサ!あなた達まで!」
「ヴァリエールには負けてられませんわ。でもタバサ、あなたはいいのよ?」
「・・・心配」
そういったタバサは一瞬ロイドのほうを見たような気がしたが、気のせいかとキュルケはオスマンに視線を戻した。
その4人の目が半端な気持ちで言っているのではないと悟るとオスマンは笑って頷いた。
「わかった。では頼むとしようか」
「オールド・オスマン!私は反対です!生徒達をそんな危険にさらすわけには!」
「ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞いておる」
それに教師たちとルイズやキュルケは驚いてタバサを見つめた。
王室から与えられる称号としては最下級の称号だが領地を買うことで手に入れることのできる男爵や子爵の爵位とは違い純粋に業績を認められて初めてもらうことのできる称号であり最年少でその称号を得ていることに驚きを隠せないでいるようだった。
ロイドはどういうことか分かっておらず首をかしげているだけだったが。