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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜25
―次の日
この日も彩のお店は大盛況。ウラタロス効果もあってか、お客さんはお店からはみ出しそうになるほどだった。
「はぁ〜。さすがにキツいね」
合間にもらった休憩時間。ウラタロスは店の屋上で座り込んでいた。
お店の場所は高台にあって、空が何からも邪魔されることなくよく見えた。天気は快晴。まだまだ寒かったが、ずっと外に出ないよりはましだった。
ウラタロスは冷たい風に吹かれながらも、久しぶりの解放感に緊張の糸も緩み始めていた。
「お疲れさま」
不意に頭上から聞き慣れた声がかかる。
「彩ちゃんも休憩?」
ウラタロスは少々眩しそうに声の方へと視線を向ける。
「そ。少しお客さんも落ち着いたみたいだし」
そう言うと、彩は少し大きめのマグカップをウラタロスに手渡した。…温かいココアだった。
「ありがとう」
冷えきっていた指先でマグカップを抱えるとその温かさが心地よかった。
「彩ちゃん…本当に果たすつもりなの?約束…」
ウラタロスは唐突に自分の中にある疑問を彩にぶつけた。
「当たり前じゃん!」
彩は元気よくそれに答える。
彩も自分の持っているココアを一口飲むと、小さなため息と共に口を開いた。
「別にね、修にはここで一緒に働いてほしいってわけじゃないの…そりゃあ、小さい頃からの夢だから…そうできたら一番良い。けど、ただね、アイツに帰れる場所はあるんだよって教えたいんだ…無理矢理だけど…帰ってくるきっかけだけでも…」
彩の声が段々小さくなってきたような気がした。
「アイツ…前の仕事辞めてからここに帰って来づらくなってる気がするの。頑固でお堅い奴だからさ…一度言ったことを曲げられないんだよ」
彩は、またため息を一つ吐くと、一気に残りのココアを飲み干した。
「さて!!こんなことしてる間にガンガン売らなきゃ!!」
カップをグッと握りしめて気合いを入れると、彩はすくっと立ち上がった。
「ウラはもうちょい休んでなよ」
ウラタロスに軽く笑ってみせると店の入り口に向かう。
「あ」
…と思ったが、何かに気づいたように振り返ると…
「良太郎は元気?」
「え?」
いきなりの唐突な質問にウラタロスは躊躇した。