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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百六十七)
「死んだのか?」
「みたいだな・・もうあばれねぇし・・」
「一応、縫合はしておくぞ・・これ以上床を血で汚されちゃ、かなわん・・」
「あんまり意味ないと思いますけど・・」
そう言ながら腹が縫合されていく・・私は・・こんな光景・・どこかで見てる・・
ノアサは笑ってるような気がした・・腹を裂かれた姿のままで・・
ノアサはそのまま死体の置かれた山に・・捨てられる・・2人は行った・・
「僕は・・幸せ・・だったの?」
かすかに・・息のもれる音
「僕だけ・・何も知らなかった・・僕は幸せだった・・の?」
誰かに答を求めてる・・恐らくその相手は・・もう1人のノアサ・・
「お腹が・・痛い・・痛いよォ・・」
切ないほどに儚い声・・押さえるその手が真っ赤に染まっていく・・
「そうか・・誰も・・もう・・助けてくれないんだ・・」
(いや、一人だけ・・助けてくれる人が・・いる・・)
息が少しづつ・・絶えながら・・最後にこんな言葉をつぶやいた
「ねぇ、アンサー・・助けて・・僕の体をあげるから・・僕を・・助けて・・」
体の温度が徐々に上がっていってる気がした・・アンサー?誰?
「くくくははははははははは!ほんとだな!ほんとに!いいんだな!くくくくはははっははは!やった!やったぞ!」
ノアサは笑っていた死体の上に大声で笑っていた・・ノアサ・・じゃない・・・・
(ジュワ―)
ノアサの体から・・陽炎が上がって・・昨日と同じ様に体中の血が・・乾いていく・・
ばっ、とその場から起き上がった
「これは・・いい体だ・・なかなかの代物だな・・くくく・・」
ノアサの目は・・真っ赤に充血していた・・