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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百十六)
・・ノアサは一体・・今までどんな人生を送ってきたんだろう?
頭の中に初めて会ったときのノアサの言葉が思い浮かぶ・・
(笑いたきゃ笑え・・)
(うわぁぁぁ!おっ、俺は・・なにも悪くない!俺は何も悪くない!何でも俺のせいにすんなよ!責任ばっかりおれに・・・)
(俺は・・僕は・・僕は要領よくないんだ!・・みんなみたいにうまくできないんだ!だから!だからあの時だって・・・うううぅ・・ぁああああ!)
(辛くて・・でも、この時間も壊したく・・なくて・・また・・我慢して・・僕は・・一体・・・何してるんだろ?)
とても頼りなくて・・・泣き虫で・・でも無理して・・1人で泣いて・・あれっ、この人・・
誰かに似てる?
「行かない・・で・・もう・・1人はいやだよ・・ぼくも・・連れてって・・」
「大丈夫よ・・もう・・大丈夫・・」
私にできることはただ黙ってノアサの手を握ってあげることだけだった・・沙都子とノアサの決定的な違い・・それは・・私がノアサの過去を全く知らないと・・いうこと・・
ノアサの苦しみはノアサが自分で言うしかない・・でも・・思い出すとこうなってしまうんだったら?
ノアサはだれにも悩みを打ち明けることなんて出来なかったんだろう・・誰も知らない過去にずっと怯えてる・・それがどんなに怖いことか・・私は・・
頭の中に・・変な考えが浮かぶ・・ここには私とノアサ二人きり・・今・・殺してしまえば・・私は・・無事、昭和58年6月を乗り切ることができる・・今回は犯人がわかってるその原因も・・だからここで初めて幸せを手に入れることができる・・でも・・・・
「あれっ?梨花ちゃんじゃないですか?」
後ろからの声・・私の意識は急にはっきりしていく・・
「入江・・」