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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜9
『もう!!ウラタロスが話すと余計にこじれちゃうよ!!ちょっと退いてて』
…このままでは喧嘩は確実…ウラタロスはそんなことお構いなしなようだが…
良太郎は我慢できずにウラタロスに代わろうとしたのだが…
「でも、今僕が引っ込んだら良太郎が危ないでしょ」
それを本気にせずに余裕で返すウラタロス…
『いいから退いて!!』
良太郎は本気だった。
気合いに気圧されウラタロスは良太郎の体から弾き出された。
「あの…すいません…謝りますから今のは…なかったことに…」
先程とは全く違う張りのない、か弱い声…
自分の体に戻った良太郎は一生懸命頭を下げた。もめ事はないに越したことはない。
誰かが傷つかないなら、謝って済むのならそれで良かった。良太郎の平和主義は昔からかわっていなかった。自分を犠牲にしても…
「そんなんで今言ったことちゃらにするつもりかよ?」
「世の中そんなに甘くないっての」
頭を下げる良太郎をからかうようにのぞき込む少年たち。
【ほら、言わんこっちゃない。早く僕に代わってやっつけちゃえば…】
「ダメだよ!なんでも喧嘩すればいいってもんじゃないでしょ」
良太郎は頑として意志を曲げない。
「てめぇ、さっきから何ブツブツ言ってんだよ!!」
そうこうしているうちに、近くにいた金髪の少年が拳を振り上げた。
"殴られる!!"
良太郎は覚悟を決めて目をぎゅっとつむった。
……………痛くない?
良太郎は恐る恐る目を開いてみた。
少年の拳は良太郎のほんの鼻先で動きを止めていた。その手首をがっちりと捕まえている色の白い手…
「うちの良太郎になんか用?」
…聞きなれた声。
「彩ちゃん」
少年の拳を止めたのは幼なじみの彩だった。