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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百六十九)
気が付くと僕は・・明るいガラスケースの中にいた・・もの凄く明るすぎて・・ここがどこなのか・・一瞬戸惑った・・
目の前に黒服の男が黙って立っていた・・
「これを・・つけるんだ・・」
そう言って渡されたのは白い布・・・
「目につけろ・・目隠しだ」
僕は突然のことに少し躊躇する・・
「早くしろ!」
その声におびえ僕は促されるまま目隠しをする
「さぁ、お客様が・・お待ちだ・・」
僕は・・そのまま人の声がたくさんする・・場所へと連れて行かれる
(さぁ!見てください!今世紀最大の感動劇!泣いてください!笑ってください!もう二度とは見れない!感動劇!)
それはいつも僕が踊る時に司会をする男の人の声だった
ここは?
(ドスン!)手に何か重く冷たい感触・・これは・・銃?
「いいか、ルールは簡単だ・・目隠しをしたまま客の言うとおりに動くんだ・・自分で・よしと思った時点でそれを引け・・要領はスイカ割りと同じだ・・うまくできたら・・元の場所に帰してやる」
男は静かにそう言った・・
「ダメ・・ノアサ!それを引いちゃ!ダメぇぇ!」
誰かの声が一瞬聞こえた気がした・・何がダメなの?
「これで・・ユユとミナに会えるの?」
「ああ、すぐにな・・・このゲームが終了したら・・すぐにだ・・上手にやりとげたら・・会わせてやるよ」
「わかった・・」
そう言って目隠しをしたまま照準をつける・・・・観客の声が・・やけに響く
「もっと!右ぃ!」
「もうちょっと真ん中!そう!そこだ!」
(パーン)
僕は・・そこで引き金を引いた・・初めての感触だった・・手がもの凄くジーンとして・・
その後・・歓声が・・沸くんだ・・