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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜52
怒鳴ることも、怒ることも嫌いだった…けれど、どうしても押さえきれなかったのだ。
…オーナーの言葉
今までずっと信じてきた彩を…彼女との約束を…彼女がやっと語ってくれた"本当"を…全て否定された気がした。
ウラタロスはそれを簡単に受け入れられるの??
「…平気なわけないじゃない」
少しあって、俯く良太郎の耳に小さな声が届く。
感情を必死で無理やり押さえ込んでいるような…押し殺した声だった。
「…え?」
いつもと違うウラタロスの声に、良太郎は彼に伏せていた視線を少しだけ上げた。
「平気じゃないよ……僕だって…彩ちゃんの言うこと信じたいよ。けど…」
拳を握りしめた砂の体が震える。
良太郎は恐る恐るウラタロスに視線を合わせた。
「…言葉の裏には針千本…だよ、良太郎。」
ウラタロスは顔を上げると、真っ直ぐ良太郎を見た。
「彩ちゃん、ケガを治すことが契約っていってたよね?その前に、契約のことを言おうとして"時間…"って言ったんだ。
この意味分かる?」
「契約の中身を変えて言ってる…ってこと?」
「そう…もしかしたら、彩ちゃんは嘘をついているかもしれない…もしかしたら、本当に彩ちゃんは時間を越えてきたのかもしれない…もしかしたら…これから、彩ちゃんの身に何かおきるかもしれない…」
ウラタロスは強い瞳で良太郎を見つめると、一歩近づいた。
「可能性がゼロじゃないんなら…最悪の場合も考えなくちゃいけないでしょ。…今、動けるんならできること、全部やらなきゃいけないでしょ」
いつも饒舌なウラタロスが言葉に詰まりながらも話を終える。
「…分かった」
良太郎はウラタロスの言葉に観念したように視線を落とす。
「…分かってたんだ…本当は…オーナーの言うことが正しいのかもしれないって…けど」
良太郎はウラタロスに向き直る。
「けど、信じたいんだ…彩ちゃんのこと」
良太郎の目には必死の色が浮かんでいた。
【うん…僕もだよ。だから、はっきりさせよう。今日のバイトで】
ウラタロスは良太郎に答えるように真剣な瞳で見つめ返した。