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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜36
「良い雰囲気になってるとこ悪いが…大事なことわすれてねぇか?」
モモタロスが話に割ってはいる。
「そもそも、何でテメェがイマジンのこと知ってるのかって話から始まったんだよ!!」
モモタロスが彩に掴みかかった。
彩は言葉を返すことなく、じっと彼を睨み返すだけだった。
「答えろ!!」
モモタロスは更に声を強める。
「も…モモタロス、落ち着いて…とにかく座って話を…」
良太郎がモモタロスを宥めようとオロオロと近づいた時だった。
「こ〜ら〜!!!アンタら〜!!」
電ライナーに声が響く。食堂車の入り口が開き、白いものがすごい勢いで入ってきた。
「えっ!?」
目を丸くする良太郎。
首から下げられた金の懐中時計…
白くてフワフワの長い耳…白くてフワフワの丸いしっぽ…全体的に華奢で小柄な体格、なんとなくウサギっぽい…が、そのフワフワの合間合間から見える筋肉…
そして…
「彩をいじめるんじゃないわよ〜」
なんとなくオカマっぽい口調に、妙に耳に残るだみ声…
白くてフワフワのウサギ…らしきモノは彩に掴みかかるモモタロスに突進していった。
バシッ!!
車内に響く音と共に、ウサギらしきものの動きが止まる。
モモタロスが彩を掴んだまま、もう片方の手を白くてウサギっぽいものの額をガッチリ掴んでいた。
「き〜っ!!アンタ卑怯よ!!!」
ウサギっぽいものは額を押さえられて身動きがとれず、モモタロスをパンチしたい腕をグルグル振り回して、その場でジタバタした。
「何だテメェ」
額を押さえたまま、モモタロスは白くてウサギっぽいものを覗き込む。
「ぴょん吉!!」
もう一方のモモタロスの腕の方から声が飛んでくる。
「ぴょん吉!???」
彩の言葉に、全員が首を傾げた。