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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜27
「あいりさんもそう。じいちゃんも…それから修も…無くしたくない、大事な人」
彩は一つ一つ言葉を選びながら続けた。
「"友達"とか、"家族"とか、なんかそういう枠じゃ括れないんだ…元々そういうの居なかったし、どんなもんか知らないし」
彩は空を見上げて続けた。それは、その言葉とはそぐわないほどの明るい声だった。
「そうなんだ…なんか良太郎がうらやましいね」
ウラタロスの口から出てきたのは素直な言葉だった。
…え…?
ウラタロス本人も自分の言葉に驚いていた。
…僕は何を言ってるんだ…
…自分の気持ち言うだけ無駄…繋がりを作るだけ無駄なのに…
ウラタロスは俯いた。
「ウラもだよ」
ウラタロスはその言葉に驚いたように顔を上げた。
彩がそんなウラタロスにニカッと笑いかけた。
「不思議なヤツだよね、ウラって…こんなこと初めて人に話したよ…」
「彩…ちゃん?」
ウラタロスは彩の言葉が信じられないと言うように、首を傾げた。
「それに、私に言うこと聞かせたバイトも初めてだよ」
そう言うと、空になったココアのカップを振って見せた。
「…あっ…休憩」
今まで休むことを拒んで仕事ばかりしていた彩が、自分から休憩しにきていたのにウラタロスは初めて気付いた。
「よし!!休憩終わり!!とにかく、また良太郎に会ったら、さっきのコト伝えておいてね」
彩は言葉を加えると、そのままくるりときびすを返してお店に続く階段へと歩き出した。
ウラタロスはそのまま彩を見送ろうとしたが、ハッと我に返ると
「だから!最近良太郎のところには…」
彩の先程の言葉に反論した。
彩は顔だけ彼に向けるとニヤリと笑って見せた。
「最近会ってない奴がどうやってヘロヘロだって分かるんだよ」
「あ…」
ウラタロスは呆気に取られたままだった。
いつもなら、こんなボロ出さないのに…
…やっぱり、彼女には上手く嘘がつけないな。
ウラタロスは妙な安堵感を感じながら階段へ向かう彩の後ろ姿を見送っていた…
…が、そこで微かにウラタロスは首を傾げた。
「…彩ちゃん?…」