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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百三十八)
「なんで・・ノアサを忘れるのですか?」
「忘れろって!言ったら!忘れろぉ!あいつは!あいつは!」
「圭ちゃん・・お願い落ち着いて・・」
魅音はかなり狼狽している・・一体・・何が・・?
魅音の手を振り払い叫ぶ!
「沙都子がこうなってるのも!レナが火傷負って苦しんでんのも!全部!全部!あいつのせいじゃねぇか!魅音だって殴られた!あいつは・・あいつは!俺の大切な者を笑いながら傷つけた!あいつは!そういう奴だった!許せねぇよ・・許せるかぁぁ!」
圭一はかなり興奮している・・そんな・・レナの火傷が・・ノアサのせい?
「信じてた!弟できたみたいで!危なっかしくて・・仲間が1人増えたんだって!俺は・・信じてた!信じてたんだ!くそっ!くそがぁぁ!」
壁を何回も叩く・・どうして?ノアサ・・違うでしょう?嘘だ・・・
「嘘だ・・嘘だ・・」
「梨花・・」
いやっ・・そんな・・・沙都子・・違うんでしょう?
沙都子はぐったりとしたまま起き上がらない・・腹には青黒いアザが出来ている・・・
「いや・・こんなの・・・いや・・」
二人とも・・大切な人なのに・・なに、なんなの?
「どうして?こんな・・ノアサ・・」
「警察に電話するんだ・・それで・・終わる・・」
私の手は・・圭一の手を必死に押さえていた・・・
「梨花ちゃん聞いただろ?あいつは最悪な奴なんだ!あいつは!」
「嫌なの・・です・・離しません!離したらノアサは!犯人なのです!そんなのない!絶対ない!」
「梨花・・やめて・・」
「見たんだ!俺たちは!全員!あいつの本性を!」
「僕も・・見ました・・ノアサは・・人を傷つけたり出来る子じゃ・・ない信じて・・もう一回だけ・・信じて・・」
沙都子は気がついたみたいで・・・私の横にくる
「私からも・・お願い・・します・・・ノアサの話を聞いてあげて・・バカな人なんです・・・あの人は・・・深読みしすぎて・・・正面から行って罠にかかるようなバカなんです・・だから・・きっと今回も何か間違えた・・だけなんです・・」
か細い声だったが・・確かに・・・そう言ってる・・・
「沙都子・・・」
「圭ちゃん・・あの子・・演じてるんだよ・・冷たい自分を・・」
魅音だった・・・