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作者:SS投稿作品用
仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜42
「…アンタ、良太郎のこと知ってたの?まさか、アイツに酷いことしてないでしょうね」
彩が不安げに尋ねる。
「ちょっかい出されてんのは、俺。アイツには邪魔されてばっかりなんだよ」
カイは頭を掻きながら彩に近づいた。
「けど、まぁ今はどうでもいいや。」
彩の目の前に顔を持ってくると、カイはニンマリと笑った。
「今はお前との契約の方がおもしろそうだし」
…契約…
そう聞いた途端、彩はギュッと右手の傷を押さえた。カイの言葉で、傷跡が疼きだしたような気がしてしょうがないのだ。
「…カイ…」
そんな彩を見かねたようにぴょん吉が一歩前に出る。
「…もう無理よ。こんなコト、もう止め…」
そこまで言いかけるとぴょん吉は口をつぐむ。
「…"無理"?…"こんなコト"?…何言ってんの?」
カイは彩に向けていた視線をゆっくりとぴょん吉に向ける。
それは、身震いするほど冷たい視線。
「お前、俺に口答えする気なんだ?俺がいなきゃ、まともに動けないくせに…お前はただ俺の言う通りに動いてろよ」
ぴょん吉はカイの迫力に押され、へなへなと座り込んだ。
「お前はただの仲介役。コイツと契約してんのは俺なんだから。」
カイは彩に視線を戻すとニヤリと笑った。
ぴょん吉は震えながら俯くだけだった。