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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百八十七)
目を開けるといつもの学校風景・・魅音もいる・・レナもやっとヤケドが一段落したらしく・・久しぶりに学校に戻ってきた・・包帯をまだ顔半分に巻いてはいるがそれは魅音も同じ・・
2人とも久しぶりに顔を合わせた時は・・お互いの顔を見て笑い合っていたみたいだ・・
他愛もない会話・・それがいつもの俺たち・・でも・・何かが足らない、そんな気がした
「圭一くん・・どうしたのかな?かな?浮かない顔して・・」
レナは俺の憂鬱そうな顔色を察して俺に話し掛けてきた
「ああ、ちょっとな・・」
そう言って俺はぽっかりと空いた後ろの二つの席をみた・・
「梨花ちゃん・・今日も休みだね、何かあったの?」
「まぁ、色々・・ね・・」
魅音も浮かない顔で返事をする
「魅ぃちゃんも圭一くんも・・何かレナに隠してない?」
「・・レナは・・知らない方がいいよ・・」
レナは少し納得しない顔をしていたがしばらくして先生がこっちを向いたので
すぐに勉強をした振りに戻る、
千絵先生も何度も後ろの空いた席をしきりに気にしてるようだ・・当たり前か・・・
最後に学校に来た日が・・あれだったんだ、先生じゃなくても気になる・・
俺は・・無性に最後に会ったあいつの言葉が気になっていた・・
(日常の人間には理解できないでしょうね・・幸せな世界を作る為に・・犠牲になってる人間が・・いるってこと・・)
「犠牲?いるのかよ・・そんなものが・・幸せになるのに・・」
「どうしたのかな?」
レナだ・・やっぱり気になってるらしい・・
「レナ・・これは俺の独り言だ・・聞きたくなかったり、話したくなければ・・無理に話さなくていい・・」
「何かな、改まって?」
「幸せに・・犠牲って・・あるのか?」