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仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜
変身?
深夜の公園。
普段ならばホームレスや不良少年たちの溜まり場となり穏やかな時間が流れる筈のこの場所に異変が起こっていた。
奇妙な風体の男が立ち尽くしている。
その足下には死体らしき影が横たわる。だがその影は溶けるように消えた。
「ふぅ〜へ…へ」
男の姿が月光に移る。
炎のように赤いボディ、手に装着された巨大な鋏、そして背中から生えるように反り立つ尻尾のような物に注射針がつけられていた。
その姿はまさに蠍そのものだった。
「相変わらず…派手にやっているな」
蠍男の背後に舞い降りる黒い影があった。蝙蝠を模された改造人間、バット。
「ヒヒヒヒ…バットか…なんか用かい?」
「スコーピオン、先ずはその下卑な笑いをやめろ」
「相変わらず古臭いヤローだ…俺は今忙しい…くだらねぇ用だったらぶっ殺すぜ?」
「私は無用に殺人はしない」
「バカな奴だぜ、せっかくこんな体を手にいれたんだ。好きに使って何が悪い!最高のストレス解消だよ」
バットは笑い続けるスコーピオンを冷ややかな視線で捉え切り出した。
「改造人間を殺してみないか?」
「ヒュゥ?」
スコーピオンの目の色が変わる。
「先日ショッカーを裏切り、我らに反旗を翻した者がいる。そいつはスパイダーを殺し逃走した」
「そいつの討伐ってか…いいねぇ」
スコーピオンのマスクの下から舌なめずりが聞こえる。バットはその音に気分を害したのかマントを翻した。
「一度やってみたかったんだ…おんなじ体の奴を引き裂いてみたい…ヒヒヒ…俺の毒で殺してみてぇってなぁ!」
スコーピオンが狂ったように笑いだす。「そいつの名前は?」
バットが懐からディスクを取り出す。
「本郷猛…いや、仮面ライダー!」