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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の七十一)
魅音さんの掛け声でみんなが一斉に駆け出す・・ぼくはそれを黙って見つめていた
「あらっ、行きませんの?」
この子は・・ニヤニヤとしながらぼくの様子をみている、僕の反応を楽しんでいるのか?
「行くわけないでしょ?トラップはかかった後が一番通りやすいって決まってるんだから・・」
周りを見てみる・・前原さん・魅音さんペア、梨花ちゃんペア、その他数人も同じ考えのようで先に行ったみんなが罠にかかるのを虎視眈々と狙っている・・
「ふぅ、とりあえずはパートナーとしては合格ラインですわね。」
「そりゃどうも・・」
しばらくして・・悲鳴や奇声が聞こえ始めた・・始まったらしい・・
あくまでこんな時こそ冷静に・・
「それで・・いつ行くつもりですの?ここにずっといても他の方々に先を越されちゃいますわ」
梨花ちゃんペアはもう入っていったみたいだ、すでに姿はない、
魅音さんペアも今まさに正面玄関から入ろうとするところだった、
「誰も窓から入ろうとしないんだね?」
沙都子ちゃんは、はぁ、と言う呆れ顔でぼくを見る
「当たり前ですわ、ここから教室に一番近いのは窓からですものたくさんのトラップが施されてましてよ・・なんならノ・・アサさんだけ入ってみますこと?」
「うん・・そうする」
「えっ?」
沙都子ちゃんは冗談のつもりで言ったのだろう。
すたすたと窓の前に行く、
「ちょっと・・それはいくらなんでも・・」
(この人は馬鹿?)そんな視線を感じる・・
ぼくは窓をガラッと開けると石をヒュッと中に入れる、すぐ後退・・身を伏せる
(ドヒュ!ガガガガガッ!パァ―ン!グリュン!ドッカーン!)
おいっ、最後のドカーンってなに?爆発音?どんなトラップだよ!?