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もみじ ハッピーエンドじゃないと許せない アナザーズトーリ 1
椛が屋敷にきて数カ月が過ぎた。
椛に告白されて数週間が過ぎた。
それでも俺達は、何ら変わることなく日常を過ごしている。
そんなある日、椛が急に体調がすぐれないということで病院にかかることになった。
そしれそれは告げられた。
「・・・妊娠しています」
そう、椛は妊娠していたのだ。
妊娠して3か月がたっていたという。
いつ妊娠したのか・・・考えるまでもない。
椛を抱いたのはあの時、椛が初めて屋敷に来たときだけだ。
そういえばあの時、椛が妊娠を恐れて、中出しだけはやめてほしいと言っていたが、俺はそれを無視し、中に出してしまった。その時なのだろう。椛が妊娠したのは・・・。
「和人さん、どうするおつもりですか・・・?」
静流が聞いてきた。
「どうするとは・・・?」
静流が何について聞いているのか考えるまでもなくわかっていた。
「椛ちゃんのことです」
「・・・・・・」
考えるまでもないことだ。
もし、こうなる時のことを考えて俺は前々から色々と考えてきた。
ただ、それを実行するのが少し早まっただけにすぎない。
俺は踵を返して屋敷から出ていく。
「か、和人さん・・・!」
静流もあわてて俺についてくる。
「どこに行くんですか」
しかし、俺はその質問に答えない。
「・・・静流、俺は用事があって少し出かける。いつ戻ってこれるかはわからない」
「ど、どういうことですか!?」
静流は俺の言葉に動揺を隠せないでいるようだ。
「・・・もしかして、椛ちゃんのこと見捨てるおつもりですか!?」
俺はその質問にも答えず、待たせていた車に乗り、屋敷を出て行った。
「和人さん・・・」
それから1日、2日、3日、待っても和人さんは帰ってきませんでした。
真理さんに聞いても、何も聞いてないそうで困惑しているようでした。
和人さんから連絡もなく、椛ちゃんも病院から帰ってきてから、いつもより暗くなったような気がします。
口数も以前より少なくなってしまい、それは椛ちゃんが、初めてこの屋敷に来た時を思い出させました。
たまに口を開くと
「和人さんから・・・何か連絡は・・・ありましたか・・・?」
と聞いてくる。
それを私はいつも同じように首を振ることで対応します。
それでいつも椛ちゃんは
「そう・・・ですか・・・」
とさらに暗くなったようになってしまいます。