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もみじ ハッピーエンドじゃないと許せない 21
「・・・それで、何が緊急だって?」
「そうそう、パーティーをしなくちゃいけないってことにさっき気がついたんですよ」
「パーティー?」
「そうです。早くしないと、日付が変わっちゃいますからね」
「・・・ちょっと待て。何のパーティーだ?」
「もちろん、お誕生日のパーティーですよ」
「・・・誕生日?誰の?」
「・・・和人さん、ぼけちゃったんですか?椛ちゃんのパーティーに決まってるじゃないですか」
「・・・・・・」
「・・・つまりあなたは、今日は椛さんの誕生日だからパーティーをする、と言いたいわけね?」
「もう、さっきからそう言ってるじゃないですか、真理さん。やっぱり、バースデーパーティーはお誕生日の内にやらないと。ほら、支度するの手伝ってください」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
俺と椛は顔を見合わせた。
確かに俺は椛の誕生日を知っている。以前椛について調べたからだ。椛自身にも聞いたから間違っているはずはない。
椛の誕生日は6月1日、そして今日は5月31日だ。つまり・・・。
「あのな、静流・・・」
「はい?」
「椛の誕生日はな・・・明日だ」
「・・・えっ?えええぇぇ〜〜〜っ!?」
静流は、飛び上がらんばかりに驚いた。
「そんな・・・それじゃ、私の勘違い・・・?」
「・・・・・・」
俺は頷いた。
「そ、そんなぁ〜〜っ・・・」
静流はペタンと座りこんでしまった。
「真理さんの目を盗んで、一生懸命ケーキ作ったのに・・・」
「・・・どうりで見かけなかったと思ったら・・・」
真理は怒るというより、呆れた顔で静流を見た。
「・・・・・・」
椛が俺の服を引っ張った。
「ん?」
「あの・・・パーティー・・・」
椛はすがるような目で俺を見た。
「・・・ああ、わかった」
俺は、今にも泣き出しそうな静流の前にしゃがんだ。
「パーティーやっていいぞ、静流」
「でも・・・今日はまだ・・・」
「もう、こんな時間だ。パーティーやってるうちに明日になる」
「・・・・・・」
俺の横で、椛もうなずいた。