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ゼロと双剣の使い魔 57
学園長室でオスマンは戻った四人の報告を聞いていた。
「ふむ、ミス・アマンダがフーケじゃったとはのう・・・」
「・・・それで学園長、彼女は何を理由に秘書採用にしたのですか?」
隣に控えていたコルベールは笑っているように見えるが顔をひくひくとひきつらせていた。
「う、うむ、び、美人だったもので・・・つい」
「学園長!あなたという人はまた!」
それを聞きルイズ、キュルケ、タバサは
(やっぱり死んだ方がいいんじゃないの)
と、前回同様に心を合わせた。
「そ、それはそれとしてじゃ。君たちはよくぞフーケを捕まえてくれた」
先ほどとは打って変わり学園長らしい顔つきをとった。
「あ、でも、破壊の杖を・・・」
「・・・気にせんで良い。形あるものはいつか壊れてしまうもの。それが早いか遅いか、それだけの違いじゃ。それより、君たちが無事に帰ってきたのじゃ。問題などあろうはずがない」
そう言い一人ずつ頭をなでる。
その言葉にルイズは安心したのか少しだけ元気を取り戻したように見えた。
「さて、君たちは一度ならず二度までもフーケをとらえてくれた。よって、その褒美として君たちのシュヴァリエの爵位申請を宮廷に出しておいた。ミス・タバサはすでにシュヴァリエの爵位をもっているから精霊勲章の授与を申請しておいた」
三人の顔がぱあっと輝いた。
しかし、ルイズははっとロイドを見た。
「オ、オールド・オスマン、ロイドには何もないんですか?」
「・・・残念じゃが、彼は貴族ではない」
「そんな!」
なお食い下がろうとしているルイズをロイドが肩に手をおいてなだめる。
「別にいいって。最初に言っただろ?俺は別に何かが欲しいから手伝ったわけじゃない。それに破壊の杖を壊した原因は俺みたいなもんだしな」
「で、でも・・・」
オスマンはポンポンと手を打った。
「さて、今夜はフリッグの舞踏会じゃ。みんなで楽しむがいい」
「そうでしたわ!フーケの騒ぎで忘れておりました!」
「今日の主役は君たちじゃ。せいぜい着飾るのじゃぞ」
ルイズは渋々ながらも礼をし、二人とともにドアに向かった。
ロイドも軽く礼をして、三人にならう。
「ああ、ロイド君はちょっと残ってくれ。少し話があるんじゃよ」
それにロイドは首を傾けたが頷いた。
ルイズは訝しげに見ていた。
「先に行っててくれ」
ロイドのその言葉にしぶしぶ部屋を出ていった。