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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百三十七)
雨だ・・今日も降ってきたな・・
「これでいい・・これで・・」
血が体中から染み出してきた・・手術跡開いちゃったんだなぁ・・多分・・
「やっぱ・・これが僕には・・一番・・合ってる・・」
ああ、いい感じに雨が降ってきた・・最高・・最高にミジメだ・・
「いいんだよね・・これで・・ごめんね・・沙都子ちゃん・・痛かった?ごめん・・ごめんよ・・魅音さん・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・ごめんなさい・・・前原さん・・すみません・・そして・・ありがとうございます・・僕を憎んでくれて」
これでいい・・これで・・だれも消えずに済む・・僕が消えても悲しむものはいない・・
「さよなら・・梨花ちゃん・・永遠に・・」
私は昨日の二日酔いでガンガンと頭が痛い・・だいぶ飲んだせいか・・沙都子はノアサの様子が気になったといって出てってもうだいぶ時間がたつ・・長引いてるんだろうか?
(ガラッ)扉が開く(カツカツ)階段を上る音・・
圭一、魅音?後ろに担がれてるのは・・ぐったりとした沙都子!?
「何かあったのですか?」
圭一も魅音も、もの凄く表情が暗い・・
「梨花ちゃん・・起きてたのか・・」
圭一は何も言わず電話に手を伸ばす・・何か嫌な予感がして・・手を取る
「どこにかける気なのです!」
圭一は何もいわず黙ったままだ・・魅音もずっとうつむいてる・・
「梨花ちゃん手を離してくれ・・」
「嫌です!訳を話してくれるまで!離さないのです!」
「離せ!」
やけに強い口調、何が・・一体何が?
「圭・・ちゃん・・やっぱ・・やめよう・・」
魅音の弱々しい声・・
「おい、魅音、自分が何されたのかわかっていってんのか?」
圭一はかなり怒っている・・
「ちがうよ、ノアサは・・」
(ドン!)
壁に拳を叩き込む・・
「あいつは!俺たちをだましてた!ずっと!野木は!」
ノアサ!
「ノアサが・・何かしたのですか?」
二人とも沈黙したままだ・・
「ノアサは・・どうしたのですか?」
「あいつの事は忘れろ・・」
突然の切り出し・・