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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜17
「ウラは良太郎と仲良いの?」
静かになったかと思いきや、彩からいきなり突拍子もない言葉が飛んできた。
「え?…そ、そりゃあ、親戚ですから」
ウラタロスはいきなりの質問になんとか答える。
「どう思ってるの?」
「えっ??」
切り返してくる質問はまたしても突拍子がない。
「そりゃあ大好きだよ。でも、彩ちゃんいつも素っ気ないから…」
話を無理矢理違う方向へ向けると、ウラタロスは悲しげな視線を彩にむけた。
これも彼の"釣り"のテクニック…これでかなりの女の子をつり上げてきたのだ。
…しかし、彩はまったく反応なし。
…そう、ここ2日間ウラタロスは彩に声をかけ続けているにも関わらず、彼女は決してなびく気配がないのだ。ゲーム感覚とはいえ、ウラタロスは少々苦労していた。
「私じゃなくて、良太郎だよ良太郎!!」
ウラタロスの視線攻撃にまったく反応することなく、彩は話を切り返す。「良太郎?」
こうもあっさりかわされ続けてはウラタロスもいい加減慣れてきたようだ。さして落ち込む様子もなく、眼鏡を中指で押し上げてみせると彩の質問に答えた。
「良い奴だよ。何でも自由にさせてくれるし、嫌みも言わないし…」
彩はウラタロスの言葉をただじっと見つめながら聞いていた。
「…ただ、優しすぎるんだよね。みんなのために自分を犠牲にだってできちゃう。だから、ほっとけないというか…」
「…そう…」
「…?」
「あぁ、特に深い意味はないの。ただ、ちょっと良太郎が心配だっただけなんだ。」
彩は少し視線を落とした。
「良太郎、お人好しだから…誰かにつけ込まれたり、利用されたり、いいように使われてないか心配なんだよね」
ギクッ
…彩の言葉にウラタロスは顔をひきつらせる。
それ、全部やってました…なんて口が裂けても言えない。この事は胸の奥にしまっておこう…そうウラタロスは心に誓うのであった。
「アンタ、案外良い奴だね」
彩はウラタロスに笑いかけた。
「あ、ありがとう。ま、まぁ僕は親戚だからね、当然でしょ」
嬉しいはずの彩の誉め言葉が胸に刺さる。ウラタロスは苦笑いした。