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ゼロと双剣の使い魔 38
タバサはロイドに顔を近づける。
「シルフィードのこと、誰にも言わないでいてくれている」
ぼそっとロイドにしか聞こえないほどの声で言った。
(シルフィードのこと?って、ああ、シルフィードが話せるってことか)
そう言われてやっと見当がついた。
シルフィード自身隠している節があったのだ。
実際ロイドにばれたことをタバサにばれるとお仕置きされるとかいって怖がっていたわけであり・・・・タバサにばれる・・・・・・?
(って、ばれてる!?)
「た、タバサ、いつから気づいてたんだ?俺が、その、知ってるって」
ロイドも、タバサにしか聞こえないような声で話した。
「最初から」
「・・・もしかして俺がシルフィードと一緒に外で寝てたあの時か?」
タバサはコクリと頷く。
シルフィードがお仕置きの話をしている時のあの怯え様からロイドは旅に出る前のリフィルの授業で遅刻や居眠りをして叱られる時と同じくらいやばいものを感じた。
「・・・た、タバサ、あのさ、シルフィードは悪くないんだ。なんか俺が半ば無理やり聞いた感じがあるような・・・ないような感じで、えっと、シルフィードのこと、責めないでやってくれよ」
「・・・別に、シルフィードのこと責めてない。あなたのことも。誰かに言うような人には見えない。それに、あなたはもともと二刀流だと聞いた。あなたの本当の実力、興味ある」
そう言ってタバサは一足先に店から出ていった。
「・・・サンキュウ、タバサ」
(っていうかいつ聞いたんだ?俺が二刀流だって)
ロイドは不思議に思ったが、気にしないようにした。
そして、デルフリンガーをもう片方の腰に下げた。
「へへ、やっぱり、なんかしっくりくるな。一本だけだと、なんか違和感あったもんな」
と喜んでいると、背後から殺気があふれてきた。
そっと振り向くと、ルイズが目を尖らせ牙をむき今にも襲ってきそうな雰囲気をだしていた。
「・・・ごごご主人様以外から物を買ってもらうなんて、いいいい度胸してるじゃない」
はじめて魔物と遭遇した時のようにゾクッと寒気がして体が震える。
ロイドはその場を一目散に駆け出した。
そのあとを追うように手に杖を持ったルイズ、やれやれとため息を漏らすキュルケと順に出ていった。
それからしばらく爆発音と悲鳴がトリステインの城下町に鳴り続いた。