仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 31 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜

毒蛇?

夏が近づいている。
カーテンごしに太陽の光が僕を照らす。
その木漏れ日が眩しすぎたのか僕はちょっと目眩がした。
「どうしたの?」
彼女が僕に話しかける。
なんでもないよと僕が言うと、彼女は微笑みながら外を見つめた。
その微笑みは太陽にも負けないぐらいの輝きを持っていた。


君と初めて出会ったのもこんな日だったような気がする。
大学のキャンパスで一人で本を読んでいた女の子。
物静かで、あまり目立った子ではなかったけど…輝きを浴びたその姿はどんなものよりも美しく見えた。
気が付くと僕は君に話しかけていたっけ…
それから付き合いが始まって…彼女といっしょに居られた時間が今まで僕が生きてきた時の中で、最も輝いていたような気がする。
全部覚えている。
二人で海に行ったこと
映画を見に行ったこと
旅行で喧嘩したこと

そして
彼女が倒れた日のことも。


僕は涙が出そうになり彼女から目を背けた。彼女は…美代子は多分助からない。

骨髄性急性白血病

肉親の居ない彼女はドナーの順番を待てない。それに僕たちには手術費用もなかった。
僕は立ち塞がる現実の一つ一つがひどく憎らしく思えた。
僕の思考を打ち消すようにドアをノックする音が聞こえた。
「はい…」
「久しぶりだね」
ドアの向こうから聞き慣れた声と懐かしい顔が入ってくる。
「本郷先輩…」
美代子が怪訝そうな目で本郷先輩を見る。
「誰?このひと…」
「あっ…あぁ、君は初対面だったね。本郷猛さん、大学の研究室の先輩だよ」
本郷先輩は僕の所属していた城南大学の研究室で学生主任を務めていた人だった。責任者だった緑川教授が失踪した後も、チーフリーダーとして研究を受け継いだらしい。
「前に話してくれた人ね?確か一番尊敬してる人って…」
美代子が悪戯っ子のように笑いながら僕と本郷先輩を見る。


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