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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜37
「…どう見ても…イマジン…よね」
今まで出会ってきたイマジンに比べ、多少…否、かなり弱そうだが、ぴょん吉と呼ばれたウサギっぽいものは、どうやらイマジンらしい…
コハナがぴょん吉の回りをぐるりと見回す。
「どうでもいいんだけど…いい加減離してくれない?」
モモタロスに襟口を掴まれたままの彩が彼を睨みながらボソリとボヤいた。
「そうよ!そうよ〜!!」
未だ額を掴まれたままのぴょん吉が彩に加勢する。
「まだ答えを聞いてねぇだろうが!!しかも何なんだコイツ…すごく弱いぞ」
モモタロスはぴょん吉を掴んだ腕を右へ左へゆさゆさ揺すった。
「きゃ〜!!何すんのよ〜!!」
成されるがままのぴょん吉…モモタロスは心なしか楽しそうに見える。
「やめなよ、モモタロス!!」
良太郎がモモタロスの腕を押さえる。
「…彩ちゃん。」
良太郎は一呼吸おくと彩に向き直った。
「僕の約束はちゃんと守ったよ。今度は彩ちゃんの番…
今まで引っかかっていた"何か"…妙なイマジン…彩には聞かなくてはいけないことがたくさんあった。
「………」
彩は良太郎と合わせたままの視線を床に落とした。
…約束…か。
一度ため息をつくと、ゆっくりと顔をあげる。
「分かった。」
…………
「特製コーヒーで〜す!どうぞ!!」
ナオミに手渡されたコーヒーを彩はまじまじと覗き込んだ。
…コーヒー…?
特製コーヒーの上にふんだんに盛りつけられたピンクと黄緑色のクリームのミスマッチさが何ともいえない…
…コーヒー…なのか…
「…彩…ちょっと、彩!!」隣から響くだみ声に、彩は特製コーヒーから視線を上げた。
「なに?ぴょん吉」
隣に座るイマジン、ぴょん吉に何もなかったように返事を返す。
「だ〜か〜ら〜!!"ぴょん吉"はやめてって何回言ったら分かるのよ!!もっと他にあるでしょ!!こんな雪のように可愛らしいアタシ…」
ぴょん吉は"ぴょん吉"という名前に敏感だった。
名付けたのはもちろん彩なのだろうが、毎回この話になると、長々と抗議が始まるのだ。
長々…長々…