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ゼロと双剣の使い魔 18
シエスタがぶるぶる震えながらロイドを見つめている。
「大丈夫だって。あんなやつに負けないから」
「あ、あなた、殺されちゃう」
「はぁ?」
「貴族を本気で怒らせたら・・・」
(ミス・ヴァリエールが以前に呼び出した少年は確かに強かった。でもそれはあの少年が特別だっただけ。だから・・・)
シエスタは、だーっと走って逃げて行ってしまった。
それと入れ違いにルイズが駆け寄ってきた。
「あんた!何してんのよ!見てたわよ!謝ってきなさい。今すぐに!」
「いやだね、別に俺が悪いわけじゃないんだ。それにあっちから決闘申し込んできたんだぞ」
「・・・あのね、よくきいて。絶対に勝てないし、あんたは怪我するわ。いえ、怪我ですんだら運がいいわよ!」
はぁ、とロイドはため息をついた。
「あのな、何で戦う前から絶対なんて決めつけんだよ。やってみなくちゃ分かんないだろ」
「メイジに平民は勝てないの!それがこの世界の決まりなの!」
「だから、そんなのだれが決めたんだって。勝手にそう思い込んでるだけだろ?確かに俺は魔法は使えないさ。だけど俺にはこれがある」
そう言いロイドは腰に携えた剣をさわる。
「魔法が使えないからって、魔法使いに勝てないわけじゃないさ」
「そんなの無理に決まってるでしょ!?絶対無理なの!だから!」
まだ反論する気でいるルイズを無視して振り返った。
「なあ、ヴェストリの広場ってどこだ」
「こっちだ、平民」
近くにいた生徒に聞き、歩き出した。
「ああもう!使い魔のくせに勝手なことばっかりするんじゃないわよ!」
ルイズはロイドの後を追いかけた。