54
ゼロと双剣の使い魔 55
シルフィードが降りてきてルイズ達が地に足をつける。
ロイドがそれを見て近づいていく。
「やりすぎ」
そばに来たタバサの第一声がそれだった。
「いや、俺もあんなに力出るとは思わなかったしなぁ」
苦笑するロイド。
いつもなら何か言ってくるはずのルイズとキュルケが何も言ってこないのを不自然に思い見てみる。
するとなぜかルイズは暗い表情をしていた。
それはキュルケも同じであった。
「どうしたんだ?ゴーレムも倒したんだし、破壊の杖だっけ?それも無事取り戻せたんだからもっと喜べよ」
「え!?えっと、その・・・」
ルイズはさっとロイドから目をそらす。
キュルケも目をそらして苦笑している。
「ん?どうかしたのか?」
「えっと、実は・・・」
「ご苦労様です」
ばっと声のしたほうを見てみると辺りを偵察に行っていたアマンダが茂みの中から出てきた。
「アマンダさん、フーケはいたのか?」
ロイドの問いにアマンダは首を振る。
「そっか」
「それよりも破壊の杖はどうしたのですか?あの小屋の中にあったんですよね?」
「ああ、ルイズ達が持ってるはずだ」
ルイズ達に目を向けるとなぜか三人ともビクッと体を震わせた。
そしてあからさまに目線をそらせる。
「どうしたんだ?さっきから暗い顔して」
「えっと、あのね・・・」
ルイズはさも言いにくそうにしながら言ってくる。
「破壊の杖は・・・もうないの」
『は?』
ロイドとアマンダは同時に疑問の声を上げる。
「えっと、実はね」
ルイズに続きキュルケが説明に入る。
破壊の杖を見つけたこと、ゴーレムに襲われてシルフィードで空に逃げたこと、ロイドだけが下に残りゴーレムと対峙したこと、そしてそれを助けようとルイズが破壊の杖を使おうとして手を滑らせて下に落としてしまい・・・
「ちょうどそこにダーリンが倒したゴーレムが倒れてきてバキッてかんじで・・・ね」
その言葉にルイズはうつむく。