5
仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜8
…また彼の悪い癖が始まったようだ…
通りかかる人…可愛い女の子限定…に次々と声をかけていくのだ。彼の趣味である"釣り"…ナンパが始まったのである。またその言葉に面白いくらいに釣れる…否、引っかかる女性たち。あっと言う間に人だかりができてしまった。
『…やっぱり』
良太郎は頭を抱える。ウラタロスが良太郎の体に入ると、必ずと言って良いほどこの"釣り"が始まるのだ。それを毎回許してしまう良太郎もかなりお人好しなのだが…
「おいおい!!邪魔で通れねぇじゃねぇか!!」
ウラタロスが"釣り"を始めて五分くらいたっただろうか…髪は金やら茶色やら、まだ二十歳に達しているかどうかも危ういが、いかにも"不良"という感じのガラの悪そうな少年たちが通りがかりに大きな声を張り上げた。女の子の輪の中心にいるウラタロスに因縁を付け始めたのだ。
「こんなとこでナンパかよ兄ちゃん。だいぶモテるみたいだな。俺達にも分けてくれよ」
女の子たちを掻き分けてウラタロスにガンをつける少年たち。5人いる少年たちにあっと言う間に取り囲まれてしまった。
「ひがむ前に自分を磨けばいいじゃない。そんな趣味悪い格好なんかしてたら可愛い子たちも釣れないよ」
「なんだと!!」
口ではウラタロスが断然有利なようだ。一言返しただけで五人全員の神経を逆なでした。
『ウラタロス!やめなよ!この人たち、この辺じゃ不良で有名なんだから』良太郎が焦りながらウラタロスを止める。
「良いじゃない、本当のことなんだから。どう見たって頭悪そうだし、彼らモテないでしょ」
良太郎の言葉にウラタロスは少年たちを見回して呟いた。
「言うじゃねぇか」
良太郎の言葉が彼らに聞こえるはずもなく、ウラタロスの言葉だけが更に少年たちの怒りに油を注ぐ。