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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の百四)
そこは・・とても静かな場所私以外誰もいないんだもん・・静かなはずだよ・・・
おばあ様は・・なんで・・こんなことばっかさせんだろう?全然面白くないのに・・
「園崎家当主・・園崎魅音・・」
私は空に向かって呟いた・・吐く息が白い・・当たり前か・・もう冬・・なんだから・・
「このまま・・帰らなきゃ・・私は・・私のまま・・」
私だって・・みんなと一緒に遊びたい・・でも・・おばあ様がダメだって・・
「どうして?」
園崎家の当主として自覚が持てるようになるまでは・・せめて十歳までは・・村の子と関わるなって・・そうだった・・私は他の子と違う・・将来はこの村の園崎家の先頭に立って戦わなきゃならないんだ・・我慢しなきゃ我慢しなきゃ・・どうして?・・寒い・・やっぱりもう帰らないと・・
「くすくす・・」
えっ!
「くすくす・・」
「なっ、なに・・今の・・笑い声・・」
周りを見回す・・誰もいないのに・・
「おばけだぁ!」
背中にヒヤッとした感覚・・
「きゃあああああああ!」
私は体がのけぞった・・
「うふふ、何してんの?」
目の前にいたのは薄い黄色髪の子だった
「えっ?誰アンタ?」
「うふふふ、誰でしょう?」
何・・だれ?ここは裏山にある私の秘密の場所・・誰も知らないはずなのに・・村の子?・・
見たことないけど・・
「この間・・ずぅっとこの山をお散歩してましたらね、お昼寝するのにいい場所を見つけて・・お友達と一緒にハイキングにきたの・・ねぇ?」
その子は後ろを振り返る・・そこにいたのが・・幼いレナだった
「えっ、えっ、レナに聞かれてもわかんないよぉ・・そうなのかな・・かな?」
「そういう事にしとくの・・」
小さな声でそうつぶやく・・
「聞こえてるよ・・」
「あれっ?、えっとぉー、レナレナ!あとお願い!」
「あっ、ちょっとミナちゃん!」
ぽんと押し出されもの凄くおたおたとした子が目の前に来るそれがレナと私の初めての出会い・・