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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の二十七)
昭和58年6月XX日 雛沢警察署
「あちゃー今日はよく降るっすね・・・」
若手の刑事が机の上にたまった書類をカバンにいれていた
「なんだかんだ言ってもまだ梅雨ですからねぇ季節的には・・・」
「あれっ、大石警部はまだ帰んない・・すか?」
「ああ、また例のシーズンが近づいて来ましたからねぇ・・警備内容の確認ですよ・・」
「ああぁ、綿流し!」
「そうですねぇ・・例年必ず何か起こってますからねぇ・・万全の対策が必要なんですよ」
「えっと・・4年前がダムの作業員がバラバラ遺体になって発見されてるんすよねぇ・・」
「ええ、犯人は6人・・そのダム工事に関わっていた現場監督の部下・・・」
「たしか・・そのうち一人は行方不明で・・そいつが隠した腕が一本見つかっていない・・」
「ええそうです・・」
「そして3年前・・雛見沢村に住んでいながら・・ダム誘致派だった夫婦が滝のあるところで・・誤って柵を壊して転落・・夫の死体は上がったが・・妻は依然行方不明・・」
「よく覚えてますねぇ・・・」
「2年前・・今度は神主さんが病気で死亡・・奥さんはそのショックで入水自殺・・」
「ええ・・遺書まで残してね・・」
「そして、去年・・今度は二番目の仏の弟夫婦に当たる主婦が撲殺死体で発見・・息子の悟子君もその後失踪・・消息不明・・犯人はたしか・・」
「つかまりましたよ・・・」
「そして今年・・何が起こるかってわけですか・・・」
「ええ、大まかそんなところです・・しかし驚きましたねぇ・・なんでそんなに事件の詳細に詳しいんですか?」
「いやぁですね・・警部がいま机に置いてあるじゃないですか事件の記事・・これでも僕・・視力は2.0ですから」
「ああ、そうですか・・しかし
村にいるお年寄りなんかオヤシロ様のたたりだって言ってて疑わないみたいですがね」
「しかしそれだったら警察はいらないでしょう・・」
「しかしねぇ、私もあながち・・たたり・・じゃないかって思うこともあるんですよ」
「それ、課長に言わないほうがいいっすよ・・」
「ははっ、気を付けますよ」