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ヒグラシのなく頃に(消滅編其の参)
それだけいうと大石さん・・は車に乗り込みさっさと行ってしまった・・・なんとなく・・・逃げてるように見えた
一人になると急にヒグラシの声が寂しく感じ始めた・・・
「一人は慣れてる・・・」
不意にそんな言葉が口から出ていた・・・・まだ・・強がってんのかな・・
しばらくぼぉっとしてても仕方ないので・・大石さんからもらったカギでゆっくりと引き戸を開けた・・・(ギッギィー)扉はかなりさび付いてる、やっとの思いで引き戸を開け中に入る・・・ホコリっぽい畳と奥には使われなくなって何年たっただろう・・囲炉裏がある・・・とにかく今日は疲れた・・寝るトコさえ・・あればいい・・
ホコリっぽい畳を気にせず横になった・・・そしてあまり周りを見ないようにする・・・
「大丈夫・・・お前は・・必要最低限のことだけをしてればいい・・幸せを・・求めるな」
ヒグラシ・・・こんな・・声だったっけ?
深い眠りに・・落ちていく・・・。
「朝7時30分・・準備・・完了・・」
手早く登校の準備を済ませたつもりだったんだが・・
あの馬鹿刑事・・制服・・持ってきてねぇ・・のか・・
散々部屋の中を散策した結果、乾燥食品の入ったビニール袋と生活用品一式は確認出来た・・が・・勉強道具の横にはあるべき制服がない・・
「そのぐらい用意しとけよ・・・しかたねぇ・・今日はこの格好でいこう・・」
俺のいま着ている服は作業服・・・完全に場違いな格好だとは思ったが・・これ以外替えの服がないのも事実・・
「はぁー、初日から・・・」
力ない感じで引き戸を開ける・・朝の空気・・・ホコリっぽいところにずっといたからかも知んないけど・・まじ・・空気うまい・・・
少し感動してる自分がいる・・・ちょっぴり・・勝手に照れる・・
そんなこんなでしばらく歩いてると・・向こうから自転車で走ってくる白い制服を着た何人かの生徒が自転車で走ってくる・・村の反対側に走ってるって事は・・あれが街の学校の生徒かな・・・
またよく見ると何人か違う制服をきた連中がそいつらと反対方向に進んでいるのが見えた・・・「あれかなぁ・・村の学校の生徒って・・・」