仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜(風太郎さん作) - 56 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜58

「新しいバイトも入ったみたいで、なかなか好調みたいだな。アンタの店。」
笑顔を絶やすことなく和也は一歩前に出た。

彩は鼻で笑ってみせると、怯むことなく言葉を返した。
「おかげさまで。邪魔された分まで取り返さなきゃいけないから、逆にやる気が出て良かったわ」

暫し、無言で見つめ合う二人…

お互い口元に笑みはあったが、ピリピリと張り詰めている空気は誰もが感じていた。

【これは、結構マズいんじゃない??良太郎、僕に代わった方が…】

「やめときな」

心配そうに話しかけるウラタロスを彩が止めた。
「アイツらは良太郎もウラも知ってる。今入れ代わったら後々面倒でしょ」

「何ごちゃごちゃ喋ってんの?」
和也がニヤニヤしながら一歩前へ出る。

良太郎は体を強ばらせたまま、震える体で必死にその場に踏みとどまった。今まで和也には怖い思いしかさせられていない…体が勝手に反応してしまうのだ。
和也はそんな良太郎に視線を合わせる…怯える良太郎は震えながらも彩の手をしっかりと掴んでいた。
それを目にした途端、和也の表情から笑みが消える…


「ムカつくんだよね…」

それを言うが早いか和也は良太郎の顔面目掛けて拳を突く。

…その時

「そんなに自分に自信ないの??すぐに手出すんだから…昔から全然変わんないね」


良太郎に拳が届く直前…彩ががっちりと和也の腕を掴まえていた。

和也は笑みの消えた視線をギロリと彩に向ける。
「アンタは変わっちまったな…」

呟くような言葉がボソリと口からこぼれた。

彩はその言葉に目を細める。

…過去の本当の自分

和也はそれを知る数少ない一人

「こんな弱ぇヤツと連んで、甘っちょろいもん朝から晩まで作って、ペコペコ頭下げて…だせぇんだよ」

そう言うと和也は彩の手を払いのけた。
彩はとっさのことに反応しきれず、よろけて尻餅を付いた。

「!?」

…否、"とっさ"だけではない…彩は自分の思考とは違う体の反応に目を泳がせた。



和也は、そのまま、その奥の良太郎へとその手は伸びる。

「うわっ」
襟首を掴まれた良太郎は悲鳴と共に彩の元から引き離された。

「良太郎!!!」

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