仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜(風太郎さん作) - 53 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜56



「あ!良太郎だ」
いつもの明るい表情で彩が良太郎のところに歩いてきた。


「…何?変な顔して」
彩は良太郎の顔をのぞき込むと首を傾げた。


「…え?!な、何でもないよ」
良太郎は目の前の彩の顔からとっさに目をそらせる。今の自分の感情を悟られてしまいそうな気がしてしょうがなかったのだ。


…可能性がゼロじゃないんなら…最悪の場合も…

ウラタロスの言葉が良太郎の頭の中で低く響いていた。



「…変なの」
彩は首を傾げたが、気にする様子もなく、覗き込んだ良太郎から一歩離れる。

「あ…あのさ、彩ちゃん…」
良太郎は恐る恐る彩に小さく話しかける。
…確かめなきゃ…彩ちゃんの本当の契約…



…が、
「あ!!聞いて聞いて!!」
彩が思い出したようにそれを遮った。…正確に言えば、良太郎の言葉が聞こえていなかったのだろう。この二人の間にはよくあることなのだ。

「ど…どうしたの?」
そして、いつも通り良太郎は自分の話は飲み込んで、彩の話を優先させる。

「売り上げがね!!去年の倍だったの!!」
嬉しそうに弾む彩の声。

「ほ、ほんと?!!」
良太郎もそれにつられて声が上擦る。その為に頑張ってきた彩の姿を見てきたのだ。先程までの心配なんか吹き飛んでしまった。
「まだ、気は抜けないけど、もう少し頑張ったら、もしかしたら本当にいけるかもしれない…ウラももう少しの間よろしくね」
彩は視線をウラタロスに向けるとニッコリ微笑んだ。






「あ〜ぁ、本当に仲良しだよな、お前ら…」



聞き覚えのある声…

良太郎はその声に顔を上げる…一瞬にして表情を凍り付かせると一歩後退りした。

彩は良太郎の表情に目をやると自分の背後を横目で睨み付ける。


…相手の顔を見なくても、それが誰なのかわかっていたからだ。


…彩にとっては耳馴染みの嫌な声…


「ほんと、イラつくくらい」

背中越しでも、あの嫌みな笑い顔が伝わってくる…


「…和也」

ゆっくりと背後に視線を移すと、ニヤリと笑う和也…そしてそれに続く仲間が十名余りが、彩と良太郎を取り囲んでいた。

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