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仮面ライダー電王〜千の偽り、万の嘘、たった一人の君の幻〜45
〜電ライナー〜
混乱している良太郎に一歩近づくとオーナーは落ち着いた口調で彼に話しかけた。
「最近、古賀彩という人物に変わったことはありませんでしたか?」
「変わった…こと?」
…良太郎は揺れる視線を落とす。
…変わったこと…変わったこと…
良太郎は一つ一つの記憶をめくるように口に出した。
「彩ちゃんは…修くんと約束して…事故にあって…ケガして…」
「イマジンと契約をした」
最後の一言をオーナーが良太郎に変わって言い切った。
「…知ってたんですか?」良太郎は目を丸くしてオーナーに問う。
事故にあってから…確かに彼女はいつもと違った。事故の後の痛々しい彼女の姿と先程の彼女の腕で見た塞がった傷口の映像が蘇る。
確かにオーナーの言う通り、変わったことが多すぎた…急すぎる回復、イマジンとの契約…
良太郎は頭の中でぐるぐると回り続ける彩を信じたい気持ちと、オーナーの言葉の間で混乱していた。
「イマジンに言いくるめられて、本人に悪気がないとしても、時の運行を乱すことは決して許されることではありません。ましてや、特異点でもない人間が時間を越えるなんて、何が起こるか…なんにせよ、早急に手を打たなければなりませんね…」
良太郎は続けられるオーナーの言葉に、唇を真一文字に結ぶと拳を握り締めた。
…でも…
[…彩ちゃんは僕の大事な友達…]
「良太郎くんも今までの彼女だと思わないで警戒した方が…」
「…注意?」
良太郎の震える声がオーナーの言葉を遮った。
「…警戒?」
その声はオーナーの言葉を受け付けない、微かではあるが反発の音が混ざっていた。
「…良太郎?」
コハナがいつもと違う良太郎の雰囲気に彼を覗き込む。