仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 66 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜



「…やぁ」
其処には『大使』が立っていた。
「何しに来たの?珍しいわね、貴方がこの部屋に来るなんて」
「いや、ね。お別れの挨拶をしようと思って…」
「別れ…?柄にもない、殊勝なことするのね」
「形式だけですよ。ちょっと中東支部に顔を出して来ます」
中東支部…ゾルの頭にその言葉が引っかかった。
「…中東支部?彼処は今、『反ショッカー同盟』の攻撃を受けている筈よ」
「僕が死ぬとでも?」
『大使』の口元に微笑みが浮かぶ。それはいつもの嘲笑とは違っていた。
「ふーん…なんだか楽しそうね。もしかして、本郷猛に会ったから?」
「まぁ、そんな所です。彼は面白い…一度貴方も会ってみるといい」
「残念。坊やには興味ないの。それに出会いならさっきあったもの」
ゾルはソファーに座り込むと満面の笑みを浮かべ、先程の絵を見詰めた。
「未熟な絵ですね。技術も、技法もまるでなってない」
「それがいいのよ。自らの才能を信じて走らせた筆は何よりも美しい…年をとり、自分を固めた芸術家には再現出来ない輝きを、この絵は秘めているの」
「…僕には芸術とやらは分かりません」
それだけ言うと『大使』は、再びドアに向かって歩を進めた。しかし、思い出したように「そうそう…」とわざとらしい声を上げるとこちらへ振り返った。
「僕の代わりに日本支部には『ドクトル』が来るそうです。挨拶の一つでもしておいた方がいいんじゃないですか?」
『ドクトル』…その名を聞いたゾルの表情が豹変する。さっきまでの気品と美貌は消え失せ、獣のような殺気をたぎらせた金色の瞳が爛々と輝いていた。
「フン…あんな旧時代の遺物と話す言葉なんて無いわ。あんな男を寄越すなんて“首領”も何を考えてるのかしら」
「“首領”の意思は絶対ですからね」
今度こそ、話の種が無くなったのか大使はロックを解除して部屋を出て行った。
残されたゾルはそのままもたれかかるようにソファーに寝転がると顔を僅かに歪めた。
「この国は私の…私達の王国よ…誰にも渡さない」
そう…誰にも…。
悲鳴にも似た狼のような咆吼が暗闇の中に木霊した。


エピローグ? END


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