仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 53 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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53

仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜

終焉?

何もかもが遅すぎた。
全ての運命は周り、その掌で命が踊った。
自分はただ『敵』を倒しただけだ。
自分を狙い、一度は殺した『敵』を…。
マスクの下に隠された素顔も知らずに…。


晴彦の身体は動かない。
ただその顔には満足そうな微笑みだけが残っていた。愛する者を守れたという優しい微笑み…残された生者にとって自己満足でしかない微笑みだ。
「何故…晴彦が…」
猛が無造作に手を伸ばす。その指先は僅かに震えていた。
『この人に触らないで!』
メデューサの叫びが猛の手を止める。その毒蛇を模した紫のマスクから一筋の涙が溢れていた。
「まさか…君は…」
『そうよ…』
メデューサがゆっくりと立ち上がり、自らのマスクを剥ぎ取る。その下からは毒々しい蛇のマスクが似合わない、愛らしい顔が現れた。
その顔立ちに猛は見覚えがあった。
「やはり…か」
「お久しぶりですね。本郷さん…原田美代子です」
「何故だ!?」
猛が叫ぶ。
その言葉は震え、まるで泣いているようだった。
「俺の知る君達は例え闇の中に在っても一筋の光を見続けていた!決して、ショッカーのような闇に沈む人間ではなかった!」
「私たちにとってショッカーは光だったのよ。 どんな世界でも二人で生きていければ幸せだった。二人でならどんな道も歩んで行けた」
美代子の強い瞳が猛を見据える。その前に猛は改造人間でも仮面ライダーでもない、只の人間に戻っていた。
「消えていくだけだった私にもう一度命をくれたのはショッカーだった…あの人と一緒に生きられる…それだけで私は幸せだった…でも、もう…」
美代子の指先が自身の首元に近付く。そこから鋭い爪が伸びて、僅かに首を触った。
「ごめんなさい…やっぱり私、貴方のいない世界を生きていたくない…」
猛が駆け出す。しかしその刹那、鮮血が舞い美代子の身体がその場に崩れ落ちた。
「何故だ…何故…」
猛の身体がその場に崩れる。その拍子にマスクが外れ、小さな嗚咽とともに涙で濡れた顔が露になった。
事の成り行きを静観していた…否、見ている事しか出来なかった隼人が猛に近付いた。


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