仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 44 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜

終焉?

全身の傷が痛む。
もう何時間こうしているかわからない。
冷たい川の流れにただ身を任せ、木々のざわめきを全身で受け止める。
自分は自然の中に居る。
自分は自然と一つになっている…。
こうしていれば傷だらけの身体はおろか、改造され、人工物で再構成された肉体が元の肉の身体に戻れるような気がした。
其処まで考えて本郷猛は首を振った。
コブラとメデューサから受けた傷は癒えつつある。
だが猛の身体は動かない。
絶対的な恐怖が
そして巨大な孤独が
猛の心を支配していた。
生まれて初めて猛は恐怖に身を振るわせた。
谷底に落ちたのも偶然ではない…本能的な恐怖が猛の身体を後ろへ下がらせた。
そして今も猛は逃げ続けている。
こうやって自然の中に居れば全てを忘れられるような気がした。
「情けないな…」
猛は呟いた。
不意に気配を感じた。
猛の前に逆光で照らされた影が現れる。
しかし猛はなんの警戒も抵抗もせず、そのままの体勢で静かにその影を見つめた。
「お前はいつまでそうやっているつもりだ?」
影が猛に言った。
「わからない…許されるならいつまでこうしていたい」
「お前の使命を忘れたか…お前に全てを託した者がいることを忘れたのか…」
影の声には猛に対する憤りと悲しみがあった。
「立ち上がれ本郷猛…生きて戦え。例え暗闇に在っても進むべき道を見極めろ」
猛の瞳に涙が浮かぶ。
同時に心に巣食っていた恐怖心が薄まり、闘志が湧いてきた。
「暗闇に取り残された人々がお前を待っている」
その言葉と同時に猛は痛みも恐怖も、それこそ全てを忘れ立ち上がっていた。
其処には既に影の姿はなかったが、木漏れ日の中に確かにそれは存在していた。
「ありがとう」
猛は木々の隙間から溢れ落ちる日光の輝きを見つめた。
眩しく暖かい輝きの中に、猛は力強く歩き始めていた。



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