仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 40 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜

狂宴?

「かんぱーい!」
葉がグラスに注がれた焼酎を飲み干す。
「お前飲みすぎ…折角入った金を一晩で喰い潰す気かよ」
そういう隼人もかなりの量を飲んでいる。
「いいんだよ…俺たちが稼いだ金だからな」
葉は真っ赤になった顔を細めて笑う。
これがいつものパターンだった。
稼いだ金はその日の酒代に消え、次の日のことはほとんど考えない。ただ単に生活設計がなっていないだけだろうが、それでも不思議と暮らしていけた。
「隼人よぉ…」
「んだよ」
相当酔いが回ってきた頃、葉がポツリと話しかけてきた。
「お前、守りたいモノってあるか?」
「相当酔ってんな…意味わかんねー」
悪態を突きつつも隼人はその答えを考える。
隼人は過去の記憶がない。
何処で生まれ、何処で育ち、親や兄弟がいたかどうかもわからない。
『ショッカー』による記憶制御ではなく、幼い頃、特に『ショッカー』にやって来るまでの記憶がない。
気が付けばあの過酷な訓練の中にいたのだ。
「よく…わかんねぇな」
「まぁよ…お前もワケ有りみてだからな。だがな、守りたいって思う奴がいるから人間ってのは生きていけるんだろうよ」
「お前はいんのかよ?」
葉は照れつつも懐にしまってあった写真を取り出す。
そこには小さな少女が満面の笑顔を浮かべている。傍らに葉、そして隣に女性が並んで立っている。
「こりゃあ…」
「俺の娘だ。妻とは別れちまって離れて暮らしてるが、いずれは一緒に暮らしたいと思ってる…俺の宝物だよ」
葉は照れくさそうに頭を掻き、隼人から目を反らした。
一瞬見えた葉の目は優しかった。
「ちょっと飲みすぎたわ…外出て涼んでくる」
葉はのそのそと立ち上がるとふらつく足取りで酒場を出ていった。

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