52
ゼロと双剣の使い魔 53
「ロイド!」
ルイズはシルフィードの上で暴れる。
「ロイドを助けて!」
ルイズは怒鳴ったが、タバサは首を振った。
「近寄れない」
近寄ろうとするとゴーレムは今度はこちらを捕まえようとするだろう。
そのことをルイズは考えていない。
ルイズは今混乱していて何を言っても聞かないだろうが、タバサはロイドなら大丈夫だろうと思っている。
なぜだかロイドのことを信用したくなってしまうのだ。
「ロイド!」
ルイズはまだ怒鳴っている。
タバサはルイズに対し少々イライラしていた。
なぜ自分の使い魔を信用しようとしないのだろうか。
ロイドの強さはタバサより主であるルイズの方がよく知っているはずなのに。
タバサは自分の使い魔ではないというのにロイドのことを信用している。
おそらくだがそれはキュルケも同じではないだろうか。
キュルケを見るとやはりあまりあわててはいない。
どうやらキュルケもタバサ同様にロイドなら大丈夫だろうと考えているのだろう。
しかしこの中で、主であるはずのルイズ本人がロイドを信用していない。
ロイドの力を信じていない。
いや、認めようとしていないのだろうか。
貴族である自分に力がなくて、平民であるロイドにあれほどの力があることを。
ルイズの無駄にある貴族としてのプライドがそれを許せないのだろうか。
ルイズはまだ暴れている。
今度は何かを探しているようだ。
なんとか自分も手伝う方法はないのだろうかとでも考えているのだろう。
(むしろ大人しくしていてほしい。かえってロイドの邪魔になる)
本当のことであろうが何気にひどいことを考えていると、ルイズはタバサの持っていた破壊の杖に気づき奪うようにしてきた。
「どうするつもり?」
「ロイドを助けるにきまってるでしょ!?」
そして無理やり破壊の杖を奪おうとしたその時、シルフィードの体が揺れて、奪おうとした破壊の杖が手から滑り地面に落ちてしまった。
「「「あ」」」