仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 24 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜

模範?

「貴女が狼なら…私はさしずめ…」
大使は考え始める。
ゾルはクスリと笑うと席から立ち、大使の椅子へ近づいた。
「貴方はね、蛇。悪魔の叡知と神を殺す毒をもった蛇…死者ですら貴方の前ではひざまずく」
「蛇…」
ゾルは静かに大使の頬に手を伸ばした。その美しい顔と豊潤な唇が大使のそれに近づき、一つになる。
大使の瞳が毒蛇の目に変わる。
「そろそろ用件を言ってちょうだい。わざわざ私の所に来るなんて何かあるんじゃなくて?」
大使は溜め息を一つ吐くとゾルを見つめた。
「博士の造った悪魔が成功作と戦い、敗れた。首領にはお伝えしたが、貴女も知りたがっていたからね」
「それだけ?」
「それだけ」
ゾルは少し呆れたような顔をすると、大使から離れた。
「さっきの言葉だけど、覚えています?」
「旧約聖書…だったかしらね」
ゾルが大使を向き直る。
「神は言葉を操るだけで万物を創造できる。人間にはない能力だ。じゃあ、人間には何が出来ると思う?」
突然の問いかけ…ゾルは食器を動かす手を止めた。
「生命創造は人類最大の好奇心だ。カバラや魔術、錬金術…さらには現代の遺伝子研究ですらその枠をでない。人間に出来て神に出来ないもの…それは模範することさ」
「模範…?」
大使は笑顔だった。
「神は己が絶対存在であるから他の者に学び、変わろうとすることはない。しかし人間は有史以来、神を模範し変わろうとしている。それは一つの進化であり、神に近づく唯一の手段なのさ」
「なにが言いたいの?」
ゾルは半ば呆れ顔で大使に返した。
「神でも…人間に劣る部分があるってことさ」
大使は立ち上がり、闇の中へ歩きだした。
「ごちそうさま。今度は僕も本郷猛に会ってみるとしよう」
消えていく大使の姿を見てゾルは呟いた。
「達者で…とは言わないわよ」
辺りを虚無と静寂が支配した。


模範 END


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