仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 23 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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23

仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜

模範?

神は言われた
“光あれ”
こうして光があった。

初めに言があった
言は神と共にあった
言は神であった
この言は神と共にあった
万物は言によって成った



「なぁに…その古くさい文句は?」
「旧約聖書の一節だったかな…何故か思い出してしまった」
「貴方らしくないわね…そんなモノを口ずさむなんて」
周囲は純粋な暗黒につつまれている。何も感じられず、何も存在しない…そんな虚無が世界を包んだ。
目の前に並べられた料理を見て、大使は溜め息を洩らした。
「食べないの?折角用意したのよ」
対極に座っている女性…ゾルがその妖艶な唇を動かし、大使に微笑みを投げる。
ゾルの美しさは異常だった。
豊潤な肉体を惜しげもなく露出し、その顔や肌を見ても年齢を知ることはできない。かろうじて髪の色からアジア系の人種であることは確認できる。
虚無の中の絶対存在…それが彼女だった。
だがその立ち振る舞いや時折見せる邪悪な瞳は彼女を天使にも堕天使にも見せている。
「ミカエルかルシファーか…」
「なに?」
「貴女のことです」
大使は微笑み、ゾルを見つめ言った。
「違うわ。私は天使でも堕天使でも…まして悪魔でもないわ…そうね…狼かしら」
「狼?」
「そう。誇り高く、力強く、そして群れることのない孤独な狼…私の夫の祖国でも、狼の神はいたわ」
大使は初めて料理を口に運んだ。
「貴女の夫…フランツ・フェルナンド大佐は確かドイツ出身でしたね。ナチス・ドイツの誇る優秀な指揮官であったとか」
「“その名を聞き、姿を見た者は必ず死ぬ”なんて言われて…結局戦死してしまったけど…」
ゾルの瞳が憂いる。大使にはかつての彼女を想像することが出来ない。何よりも彼は『戦争』を知らない。
勿論知識として『戦争』があったという情報は身についている。だがいくら知識があろうと、ゾルや博士のような体験がない。


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