仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 18 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜

遺産?

しばらくしてあすかは足を止めた。
背後を見るがあの青年や借金取りの姿はない。
「追ってこないよね…?」
あすかは安堵の溜め息を吐くと頬に流れる汗を拭った。あの奇妙な青年の顔が脳裏に焼き付いている。
子供のように無邪気で…残酷な狂気を孕んだあの瞳が何とも言えない恐怖を煽った。
「なんなんだろう…ちょっと猛に似てるかな…気のせい?」
「『タケシ』ってだあれ?」
「えっ!?」
不意に子供のような声が聞こえた。あすかが背後を振り向く。そこにはあの青年…一文字隼人が立っていた。
全身に赤黒い血がついている。
「あんた…」
「いきなり逃げちゃうなんて酷いなぁ…せっかく助けてあげたのにさ〜」
あすかは息を呑んだ。
一文字隼人の奇妙に砕けた口調やおどけた態度にも警戒したが、全身の返り血や自分を追ってきた筈なのに息一つ切らしていない隼人の身体能力にあすかは声が出なかった。
「君の名前は?」
「ひ…人の名前を聞くときは自分から名乗るもんでしょ?」
呆気にとられた隼人の表情が変わる。暫くの沈黙の後、隼人はニンマリと笑うとあすかを見つめた。
「ゴメンネ。俺の名前は一文字隼人」
「緑川…あすか」
「ねぇあすか…タケシって…ホンゴウタケシのこと?」
「う…うん…あんた猛の知り合い?」
「う〜ん?ちょっと違うかな…」
隼人が首を捻る。
その仕草は子供そのものだった。
「なんなのよ…」
あすかが呆れた声を出す。隼人に対する恐怖心が溶けていくのが何となくわかった。少なくともあすかには敵意が無いことがわかったからだ。
「とにかく…猛に会いたいの…?」
「うん!」
隼人が頷く。あすかは少し考えたが、隼人の無邪気な瞳がその思考を止めてしまった。
「わかった…猛のところに行けばいいのね。多分ボクん家に居ると思うから一緒にくる?」
「本当?」
「その前に…何があったか知らないけど…その血を落としてからね」

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