仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜(あいじさん作) - 16 | ケステーズ - 二次小説・SS投稿

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仮面ライダー〜THE MASKED RIDER〜

遺産?

緑川あすかは息を切らせて人通りのない路地裏へ逃げ込んだ。
手にはスケッチブック、そして使い古しの画用鉛筆が汗とともに握られている。
「参ったな…」
そっと表を覗いてみる。強面のいかつい男たちが目を見開きあすかを探している。
(しつこいな…こんなちっちゃい子追いかけるなら他のことすりゃいいのに)
そう憤慨するあすか自身にもその原因が自分たちにあることぐらいは分かっていた。
どうにか立花藤兵衛のところに潜りこんで生活しているものの、借金がなくなったわけではない。母もどうにか仕事を始めたからといっていきなり生活が楽になるわけでも学校に通えるわけでもないのだから。それにいつかは立花のところからも出ていなければならないだろう。
そこまで考えてあすかの思考は止まった。
「見つけたぜ…お嬢ちゃん…」
見ればあのいかつい顔があすかのすぐ上に現れ、でかい手を頭にのせていた。
あすかは急いでその場から逃げ去ろうとするも、襟首をガッシリともたれ、動こうにも動けなかった。
「さて…今日こそはてめぇらのねぐらを教えてもらうぜ…ん?なんだそりゃ…」
借金取りの一人があすかの持っているスケッチブックに手を伸ばした。あすかはその手を払い除け、借金取りを睨みつけた。
「触るな!これはお父さんがくれた私の宝物なんだ!お前達なんかが触っていいもんじゃないんだ!」
「なんだとこの…」
起こった借金取りが拳を振り下ろした。あすかは思わず目をつむったが、暫くしてもその痛みどころか、殴られた感覚もなかった。
「なんだてめぇ!」
その声に目を開けるとあすかの前に知らない男が現れ、借金取りの拳を掴んでいた。
細い首筋に流れるような長い髪、整った顔…まるで神話や絵画から抜け出てきたよいな容姿を持つ男だった。
だが、あすかは奇妙なことを思った。
タイプも違ければ印象も違うのにどこか、あの本郷猛に似ているような気がしたのである。

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